そもそも美容師に確定申告は必要?

フリーランス・個人事業主は必須
フリーランスとして独立している美容師や、個人でサロンを運営しているアイリストは、年間所得が48万円を超えると確定申告が必須です。
例えば「売上500万円−経費350万円=所得150万円」の場合、48万円を超えているため確定申告対象となります。
確定申告を怠ると、無申告加算税(15%〜20%)や延滞税が課されるリスクがあるため注意が必要です。
フリーランスや個人事業主として働く美容師は、確定申告が必須になります。
そもそも「個人事業主って何?」という方は、まずこちらの記事で仕組みやメリット・デメリットを確認しておきましょう。
美容師が個人事業主で成功するための全知識
「副業美容師」も収入次第では対象
会社員として美容室に勤めながら、休日に出張カットや友人への施術で副収入を得ている場合も、年間20万円を超える副業収入があると申告義務が発生します。
「現金だから大丈夫」と思っていても、報酬の支払元が支払調書を提出していることが多いため、税務署に把握されやすい仕組みになっています。
会社員美容師との違いはここ
会社員の場合は勤務先が年末調整で税金を処理してくれるため、原則として自分で申告する必要はありません。
一方、フリーランス・副業の場合は、売上管理・経費計算・控除の適用判断をすべて自分で行う必要があり、正しい知識が欠かせません。
確定申告の基本知識【初心者向け】
申告時期と提出方法
申告期間は例年2月16日〜3月15日。
提出方法は3つあります。
- 税務署に書面提出(郵送・持参)
- e-Tax(マイナンバーカードやICカードリーダーを使った電子申告)
- 会計ソフト(freeeやマネーフォワード)から直接連携
電子申告にすると、還付金の入金も早く、控除(青色65万円控除)をフルで受けられるメリットがあります。
白色申告と青色申告の違い
- 白色申告:単式簿記で簡単だが、特別控除が10万円と少ない。
- 青色申告:複式簿記が必要だが、最大65万円の控除あり。家族への給与や赤字の繰り越しなども認められる。
※美容師が長期的に独立して活動するなら、ほぼ青色申告一択と言えます。
税金の種類(所得税・住民税・消費税)
- 所得税:所得に応じて5〜45%の累進課税。
- 住民税:前年の所得に対して約10%課税。
- 消費税:売上が1,000万円を超えると課税事業者となり、消費税の納税が必要。
美容師が申告で使える主な経費とは?

店舗家賃・商材・備品などの基本経費
サロンの賃料、カラー剤・マツエク商材、椅子や鏡の購入費用など。年間で数十万〜数百万円規模になるため、経費計上は大きな節税効果をもたらします。
交通費・通信費・研修費も対象に
- 出張カットの移動費、電車・バス代
- LINEビジネスアカウントや予約アプリ利用料
- 技術講習・コンテスト参加費、資格取得の研修費
これらも全て仕事に関連していれば経費として認められます。
「家事按分」の考え方と注意点
自宅兼サロンの場合、仕事に使っている割合を按分して経費計上できます。
例:自宅50㎡のうち10㎡を施術スペースとして使っている場合=家賃の20%を経費に。
ただし、根拠となる記録(間取り図や光熱費の明細など)が必要です。
NGな経費と税務調査のリスク
私的な買い物や家族との食事代を経費にすると否認されます。
税務署は「美容室なのに高額なブランド品」など不自然な支出を重点的に調べます。
美容師の節税に役立つ制度&テクニック
青色申告特別控除(65万円控除)
青色申告を選ぶだけで、最大65万円を所得から差し引けます。
例えば所得400万円なら、控除後の課税所得は335万円に。所得税・住民税を合わせて数十万円の節税効果があります。
小規模企業共済・iDeCoで所得控除
- 小規模企業共済:事業主の退職金制度。掛金は月1,000〜7万円、全額が控除対象。
- iDeCo:老後資金の積立制度。運用益も非課税で、掛金はそのまま所得控除。
いずれも「将来の備え+節税」が同時にできるので、美容師フリーランスに最適です。
開業届は出すべき?【メリットあり】
開業届を出すと「事業」として扱われ、青色申告も可能に。事業用口座を作ると経理が楽になり、信頼度もアップします。
扶養や配偶者控除との関係にも注意
配偶者の扶養に入っている場合、所得が増えると扶養から外れる可能性も。103万円/130万円/150万円の壁を意識してシミュレーションしておきましょう。
確定申告のよくあるミスと注意点

- 売上記録の不備:日報・アプリ・予約台帳と突き合わせて正確に。
- 領収書の保存忘れ:レシートは7年間保存義務あり。クラウド保存が便利。
- 副業収入の申告漏れ:現金受け取りも対象。支払調書から税務署に把握されます。
- 家族への給与未処理:専従者給与を設定すれば所得分散で節税可能。
申告をスムーズに進める3つのコツ
- 会計ソフトを使う freeeやマネーフォワードはレシート自動読取、銀行口座連携で記帳がラク。
- 毎月コツコツ記帳 月末ごとに整理することで「経費漏れ」や「重複入力」を防げます。
- 税理士に相談する 売上が500万円を超えたら顧問契約を検討すると安心。節税提案も受けられます。
確定申告の提出方法と流れを解説
- 提出方法:紙/e-Tax/会計ソフト。
- 必要書類:売上帳、経費帳、控除証明書(保険料・共済・医療費)、本人確認書類。
- 提出後:納税は口座振替・カード払いも可能。還付は1〜2ヶ月後に入金。
こんな人は要注意!税務調査の対象になりやすい人
- 経費が売上の8割以上など、比率が極端に高い人
- 現金売上が多いのに記録があいまいな人
- SNS案件や講習収入を申告していない人
税務署は「同業比較」をするため、美容師全体の平均と比べて突出していると調査されやすいです。
フリーランスの税金・保険周りが負担になり「やっぱり会社員に戻ろうかな」と感じる人も…。
美容師向けの転職サイトも活用しつつ、自分に合った働き方を探すのも選択肢の一つです。
美容師におすすめの転職サイト5選|後悔しない選び方
まとめ|確定申告で損しない美容師になるために
フリーランス美容師・個人事業主にとって、確定申告は「義務」であると同時に「最大の節税チャンス」です。
- 青色申告・共済・iDeCoを活用すれば手取りが大きく変わる
- 領収書管理・月次記帳を徹底すれば、申告もラクになる
- 税務署は“見ている”ので、正しく誠実に対応するのが結局一番得
早めに準備を始め、記帳を習慣化することで、安心してサロンワークや施術に集中できる環境を作りましょう。
コメント