スタッフ採用はサロン経営の要

アイラッシュサロンにおいて「誰を採用するか」は、売上や雰囲気、顧客満足度を大きく左右します。経営者の理想や価値観と合わない人材を採ってしまうと、教育コストだけでなく、スタッフ同士の人間関係、顧客満足度、最終的には離職による損失にもつながることも。
実際、筆者がこれまでに経験してきた中でも、「条件だけで入社を決めてしまった人材」が早期退職するというパターンは少なくありませんでした。スタッフ採用はサロンの未来への投資。失敗を減らすためにも、戦略的な採用が求められます。
アイリスト採用でよくある失敗パターン
以下のような採用ミスは、よくあるトラブルの元になります。
- 条件ばかりで採用を決めてしまう
- 高待遇や自由な働き方だけで釣ってしまうと、理念や方針に合わない人が集まり、ミスマッチが発生。
- 技術チェックを省略・甘く見てしまう
- 採用後に技術不足が発覚すると、トレーニングコストが発生し、既存スタッフの負担も増加します。
- 人柄や価値観を確認しない
- チームワークや接客への姿勢が不一致だと、顧客離れにも直結。
- 媒体選定・募集文の伝え方が曖昧
- 誰に向けて何を伝えるかを明確にしないと、ミスマッチを招くリスクが高まります。
これらの失敗を避けるには、事前の準備と採用基準の明確化が必要不可欠です。
スタッフ採用で失敗しない7つのコツ

採用の「目的」を明確にしておく
「売上アップのため」「店長候補を探している」「予約枠拡大のために手が欲しい」など、採用の目的があいまいだと、採用後にミスマッチが起こりがちです。面接時に求めるスキルや姿勢も明確化しておくことで、的確な人材を見極めやすくなります。
技術チェックを妥協しない
施術スピードや仕上がり、持続力などのチェックは、必ず入社前に行うべきです。技術が基準に満たないと、クレームや顧客離れにつながるリスクがあります。モデル施術は必須です。
求人内容は“ウソなし”が鉄則
「集客に強い」「自由に働ける」など、魅力的に見えるワードを多用しすぎると、入社後のギャップが生じます。実態と異なる条件での採用は、スタッフの信頼を損ね、早期離職に直結します。
人柄や価値観を重視する
スキル以上に重要なのが、人柄や価値観の一致です。理念やサロンの雰囲気に合わないと、たとえ技術が高くても長続きしません。面接時の会話やSNSの投稿内容などからも、人柄はある程度見極められます。
SNS・HotPepperの見せ方を整える
応募者は必ずInstagramやGoogle、HPなどをチェックします。更新が止まっていたり、雰囲気が伝わらないと、応募に至らないことも。サロンの世界観や働くスタッフの様子を発信することが、優秀な人材の興味を惹く第一歩です。
面接での質問内容を用意しておく
「志望動機」「働く上で大切にしていること」「将来のキャリア像」「今までの離職理由」など、深掘りできる質問を準備しておくことで、相手の本音や価値観を知ることができます。
入社後のフォロー体制を作る
採用して終わりではありません。入社直後はとくに、不安や孤独感を感じやすい時期。月1の面談やマニュアル、教育担当の配置など、フォロー体制が整っていれば、定着率にもつながります。
スタッフ採用後にやるべき体制づくり【詳しく解説】
教育フローの整備
- 初月の育成プラン
入社1週間:接客マナー・電話対応・サロンルールの習得
入社2〜3週間:簡単なアシスト業務・技術メニューの練習
入社1ヶ月:モデル施術開始 - マニュアル化 口頭指導だけでなく、マニュアルやチェックリストを用意することで、誰が教えても同じ水準で育成できます。
- ゴール設定 「3ヶ月で〇〇ができるようになる」という明確な目標を設定することで、本人の不安を軽減し、やる気を引き出せます。
技術チェックやOJTの実施
- 技術チェック表の導入
施術ごとにチェック項目を用意。達成したらスタンプやサインで進捗を可視化。 - OJT(On the Job Training)
現場での施術サポートを通して学ばせる。先輩が実際に見せながら「なぜそうするのか」を解説すると理解が深まります。 - 成長の見える化
進捗がグラフや表で確認できると、スタッフ本人も「ここまで成長できた」と実感しやすく、定着率アップにつながります。
モチベーション管理
- 報酬制度の工夫
売上に応じた歩合やインセンティブ ・次回予約数や口コミ件数なども評価対象に - 表彰制度
月間MVPや「今月一番お客様に褒められたスタッフ賞」など、数字以外でも評価される仕組みを作ると公平感が増します。 - キャリアパスの提示
「半年でデビュー」「3年目で店長候補」など、未来が見えると長期的に働くモチベーションが高まります。
コミュニケーションの場を作る
- 定例ミーティング
月1回の全体ミーティングで目標共有・課題解決。個別面談も取り入れると、不満や悩みを早期に把握できます。 - 日常の報連相文化
グループLINEや社内チャットを活用し、ちょっとした情報も共有。小さな相談がしやすい空気が大切です。 - 交流の場づくり
食事会や誕生日祝いなど、仕事以外の場での交流が信頼関係を深めます。ただし強制参加ではなく、気軽に参加できる雰囲気が理想です。
まとめ
採用はゴールではなくスタートです。
教育フロー・技術チェック・モチベーション管理・コミュニケーション、この4つを整えることで「辞めにくいサロン文化」が作られます。特に美容業界は離職率が高いため、“最初の3ヶ月”の育成とフォロー体制が定着のカギになります。
これから採用する人に伝えたいこと

採用は「人を増やす」ことではなく、「仲間を迎える」ことです。特に小規模サロンでは、一人の存在が全体の雰囲気や売上に大きく影響します。
そのためにも、
- 長く働いてくれる人を見つける
- 同じ方向を向ける人と出会う
- 相手にも「ここで働きたい」と思ってもらう
この3つを大切にすることが、採用成功の鍵です。
まとめ:採用は経営の“第二の腕”
スタッフ採用で悩んでいる経営者は多いですが、採用こそがサロンの未来を作るカギです。条件だけではなく、価値観・人柄・ビジョンに共感してくれる人を選び、入社後も一緒に育っていく体制を築くことが、長く愛されるサロンを作る第一歩です。
採用は未来への投資。失敗を恐れず、でも慎重に。「いい人材を採る」ではなく、「この人と一緒に働きたい」と思える人を採用していきましょう。
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